整体について
「整体」とは、体のバランスを整えることを目的とした手技療法の総称です。
総称ですから、いろんな時代にいろんな所でいろんな人たちが編み出したものが含まれます。多種多様な民間療法を大雑把にひとくくりにした言葉なので、厳密な定義があるわけではありません。
整体には明確な定義がありません。逆に、明確な定義が定まっていないものを習慣的に整体と呼んでいます。
法律の定めのある手技療法(柔道整復、指圧マッサージなど)は整体とは呼びません。またちゃんとした定義のある手技療法(カイロプラクティックやオステオパシーなど)も整体と呼ばないのが普通ですが、日本では民間療法に含まれるということで整体の範疇に含めてしまう場合もあります。
「これって、整体でよくなる?」
そんな質問をよく受けます。
法律の制約がありまして「○○が治る」とか「○○に効果がある」ということを大っぴらに言えない事情があります。なので明らかに守備範囲外なもの以外は、「とりあえず試してみませんか」と答えるようにしています。ただ、「整体で何が変わるのか」「どんな効果があるのか」については皆さんもう少しお知りになりたいでしょう。
そこでとりあえず、症状との相性を5段階で表現してみました。整体の得手不得手を察していただければ幸いです。
相 性 ランク |
説明
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具体的な症例
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A
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大いに期待できます。
ファーストチョイスとしてお勧
めします。
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・むちうち症
・寝違え
・ぎっくり腰
・頭痛(筋緊張性疼痛)
など
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B |
試す価値があります。
他の治療が効かなかったときの
セカンドチョイスとしてお勧め
します。
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・肩凝り
・
五十肩
・腰部椎間板ヘルニア
・坐骨神経痛
・慢性の腰痛
・関節痛
など
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C | 試して損はないでしょう。
他の治療と併用することでより
よい結果が得られると思います。
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・変形性脊椎症
・外反母趾
・顎関節症
・脊椎管狭窄症(術前)
・骨折の後遺症
・球蓋形成不全
など
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D |
症状自体に関してお役に立てる
ことは少ないです。
しかし、全身の調子を整えること
でよりよい状態へと向かう可能性
があります。
他の治療を補助する形で利用され
ることをお勧めします。
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・圧迫骨折
・骨粗鬆症
・高血圧
・腱鞘炎
・めまい
・耳鳴り
・鬱
・統合失調症
・不眠症
・脊椎管狭窄症(術後)
・不妊症
・線維筋痛症
など
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E |
あまりお役に立てません。
別の方法でケアしていただくべき
だと思います。
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・筋肉をつけたい
・痛風
・膠原病
・アレルギー
など
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なお、上記の判定は客観性を保つためかなり控え目にしてあります。また私の個人的な見解ですので整体師の技量や得手不得手によって多少上下するかもしれません。
前述のように、一口に整体と言っても様々です。どんな施術をするのかは整体院によって違いますし、同じ整体院の中でもセラピストによって違う場合すらあります。
イチかバチかやってみないと何をされるかわからない。
ちょいと試してみるか、と思えるほど単価は安くない。
ひとつしかない自分の体に万が一もしものことがあったら?
そういった不安が整体院の敷居を高くしています。
しかし整体は有益な技術です。場合によってはどんな手当てを受けるより効果を発揮することがあります。それを試さないなんて、もったいない。
というわけで、整体院のかかり方をご紹介します。予備知識があれば、多少は安心して整体院の扉を叩けるのではないでしょうか。
1、事前に訊いてみる
最初から施術を申し込む必要はありません。不安であればまず話だけ聞くのもアリです。
まず最初に幾つか質問したい旨を話し、
ここではどんなことをするのか
料金は幾らか
こんな症状(貴方の具体的な症状)には効果があるのか
その他知りたいことを簡潔に尋ねてみて下さい。その上で検討し後日連絡する、ということにしておけばいいのです。何か自分に合わない、と思ったらそれっきりでも構いません。
話をすることで整体院の雰囲気や整体師の人柄などもある程度感じることができます。試してみて下さい。
2、希望をはっきりと伝える
さて、検討の末そこにかかることを決めたとします。施術を受けるとき、まず気になっている症状や改善したいことを要望としてはっきり伝えて下さい。
中には患者さんに全く話させず自分自身の判断だけで施術をする、という整体師もいます。そういう場合はその方のやり方に従って下さい。
3、注文をつけない
「そこをよく揉んで」とか「そこポキッと鳴らして」とか、施術の内容に注文をつけてはいけません。
「何だい、希望をはっきり伝えろって言ったじゃないか。お客の求めに応じてくれるのがいい整体師ってものじゃないの?」と思われるかもしれませんがそれは違います。
例えば美容院に行くとします。こんな髪型にしてくれ、と希望を伝えますよね。しかし「こういうハサミを使ってくれ」とは言わないでしょう? 貴方の希望を叶えるために必要な道具が何なのか、それを最もよく知っているのは美容師だからです。だから、整体師に施術内容まで注文をつけるべきではありません。
それに、揉んでくれとか鳴らしてくれとかいう注文に易々と応じてくれる整体師は逆に要注意です。
お客さんはやってほしいことをやってもらえるので満足します。満足感が得られたのでまた行きます。でも最善の手当てではないのでよくなりません。だから何度も通うことになります。そのループができるだけ長く続いた方が商売としては得なのです。
よい整体師は一時の満足より成果を上げることを優先させます。そういう整体院を選ぶ方が本当の意味での満足が得られるでしょう。
4、整体だけに頼らない
万能な治療法というのはありません。当然整体も万能ではありません。得意な分野もあればそうでないものもあります。全て整体で何とかしようとは思わず、場合によって他の手段と併用することも考慮して下さい。
病院で検査して湿布や飲み薬を処方してもらい、足りない手当てを整体院で補う、という使い方でもいいでしょう。よくなるためなら何でも利用して下さい。